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カレン・サイア写真集「Rubber Duck

 

 

ほっと一息つく所、それは人それぞれ違うだろう。だが、そう問われたならば回答とし多くの人が「風呂場」と答えるのは想像するにかたくない。

 

カレン・サイアの初の写真集はそのバスルームの鏡に映る人間(そして人間とはいえない何か)を写し取った意欲作である。

一日の疲れを癒し、また明日に備えるために一人で入るバスタブ。湯は私たちの表面上の汚れを拭い去ってくれるが、けして内面の淀みまで落としてくれるわけではない。外面の姿を消し去り赤裸々に本質を浮かび上がらせる場所として、浴室はもっとも適している場所かもしれない。一人になるそこで、無意識に私たちは人に見せないもう一つの姿をさらけ出す。浴室の鏡に映るそれは、生気の無い病人の姿であり、クリーチャーであり、痛々しく傷口をさらし血を流した姿であり、多数のフックに突き刺されがんじがらめになった姿であったり、眼鏡をとった淫らな姿であり、豚であり、そして死を濃く背負った姿でもある。

 

そのような姿は誰も見たくないもの、そして見せたくないものかもしれない。しかしカレンはそんな姿をバスタブの縁にちょこんと座っているラバーダックを暗喩的に使用し、寓話的なモチーフ・抜群のセンスで実に美しく内包しながらも、外面を洗い流した人間の本質を問う作品集に仕立てたのである。

 

今日浴室の鏡にはどんな姿が映るのだろう。カレンの素晴らしい手腕を通していない姿を鏡の前に晒すのを少し躊躇う。(スタッフ・田口)

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カレン・サイア プロフィール

アメリカ・ロサンゼルス生まれ。
パサデナのArt Center college of Designsを卒業後、フォトグラファーとなる。
カリフォルニア在住。フェティッシュ/呪術的ともいえる素材を用いた写真にアンティークな要素を吹き込んだ作風が持ち味の現代写真アーティスト。

Louis Fleischauerの作品とのコラボレーション写真作品"Bloodletting""Invocation of Desires"シリーズがある。

 

ヴァニラ画廊の展覧会ではカレンの初写真集2010年「Rubber Duck」のスペシャルボックス及び通常版をどこよりも早く限定販売します。(通常版も著者のサインカード入りです。)美しく装丁された写真集を是非ご高覧下さい

※スペシャルボックス版に関しては79日からの発売となりますので、ご了承下さい。


Posted: 2010-07-06 12:00:34

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